幻想世界神話辞典 〜
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ズルカルナインDhu al-qarnayn(双角王)とも。古代ギリシャ世界の英雄、王、マケドニア大王アレクサンドロス(英語アレクサンダー)(生没BC356-BC323年)、
のアラブ圏、インド圏での呼び名。 
(Alexandrosのalがアラビア語の定冠詞にとられてしまったらしい) 
大王が征服地に造った都市、多数の「アレクサンドリア」の現存するもっとも東側の「カンダハル」(アフガニスタン)
にもイスカンダルの名がみえる。
  
1990年代に放映されたテレビ番組でパキスタン地域を取材したとき、現地の人が、名前が「イスカンダル」で
「昔の英雄、大王で尊敬されているから名づけられた」という趣旨を述べていた。 
(実はコーランにも書かれている)
  
アレクサンドロス説話、伝承とでもいうか偉大な人物は伝説や神話になりうる。
 
アレクサンドロスもはやくはプトレマイオス朝時代、紀元前BC2世紀頃『アレクサンドロス大王物語』がヨーロッパ、西アジアへと
伝播していく。 
イラン(ペルシャ)で、10世頃フィルドゥシーという詩人のてになる物語では、
ズルカルナイン(二本角)という異称で呼ばれる。兜の前立てが二本角だという(
あるいは強さの象徴で頭から生えていたという)。 
ゴルガスリのように兜形の異称がおおいのだろうか。
  
このズルカルナイン(イスカンダル)は人肉を喰らう蛮族ゴッグ・マゴッグYajuj・Majujの征伐にいき、彼らの侵入を防ぐ
「鉄門(デルベンド)」を築いたという。(ゴグとマゴグはエゼキエル書にもある東方の蛮人) 
また中国遠征にも赴き(史実では西トルキスタンまで)、中国の王側は不意をつかれ対陣したが夜密かに訪問してきて貢物の量(何年分)
について交渉する。イスカンダル側が5年分といったのに対して最終的に1年の税額の3分の1になる。 
話し合いがついたと思ったら中国側に包囲されていたので裏切りをなじると、
そうではなく服従の敬意を示すためで、しかし中国が弱いからではないからだと説明する。 
イスカンダル王は貢物のことは白紙としたっが、中国側は絹・錦・テン毛皮・銀など大量に贈り、さらに
毎年贈り物すると約束したという。
  
『コーラン』の18節洞穴の章に、ズルカルナインがゴグとマゴグを防ぐ防護壁を民に頼まれて設ける場面がある。
持ってこさせた鉄を不思議な力(風を吹かせ)で赤熱させ溶かした銅をかけさせ完成させたが、
「主のお約束が臨むときには、主はこれを土ぼこりになしたもう」と言い加えた。最後の審判と時のことであるらしい。
 
神より授かった偉大な力を持つ。「地上における権力を与え、あらゆることに通ずる道を授けた」とある。
「しかし、労力で私を助けよ」と鉄や銅の資材自体は運ばせた。
  
コーランは600年代中盤から編纂され、アラビア文字の綴字法の改良等を経て8世紀頃、現在の形になったようだ。
 
フィルドゥシーのイスカンダル物語はコーランの内容によったものか、民間に元々あったものか。 
なおコーランには「緑色の男」al-khadirという者がいて、民間説話ではイスカンダルの大臣といわれる。
生命の水を飲んで最後の審判まで生きながらえているという。イスラム教徒が困っていると緑衣きて現れる。
  
なおロシアのミサイルシステムの名称「イスカンダル」(イスカンデル)がある。
アラブ圏の影響が強かった時代の名残であろうか。
  
  
余談だが、日本ではアニメ作品「宇宙戦艦ヤマト」の目的地として有名な名前である。
OP主題歌にも「宇宙の彼方イスカンダルへ」「銀河を離れイスカンダルへ」とある。 
2011年には「Fate/ZERO」においてライダー 征服王イスカンダル がみられる。
  
  
参考資料 
・
西アジアとインドの文明 (講談社学術文庫) 
 
・
世界の名著 17 コーラン (中公バックス) 
 
・日本大百科全書 (小学館) 
・大辞泉 (JapanKnowledge) 
  
 
 
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