またはアスクレーピオス。エスクラピウス。ヘレネス(ギリシャ)神話の医術の神、治療の神。アポロンの息子。人間を治療するだけでなく死者を蘇らせることもできたという。 そのことでゼウスの怒りをかい、電光で焼き殺されたという。
母親についてはいくつか伝承があるようだ。
少女コローニスがアポロンの子を宿していたが、ある時イスキュスという賓客がきて、彼に逆らえず身を委ねてしまった。 この不貞をアポロンは見逃さず姉アルテミスを都市ラケレイアーに送り、コローニスは矢で殺され、また多くのプレギュアイ人の女たちが殺さ、多くの薪の山で燃やされた。 アポロンはここにいたって息子が母親と焼かれるのをよしとせず、コローニスの屍から取り出しケイロンのところへ連れて行った。 そこで医術を学んだという。
またアスクレピオスの有名な治療地エピダウロスは病人が神殿の中で睡眠をとることで治癒を得ていたという。 ここでの伝承では母はアイグレー(明るい女、の意)で、このエピダウロスで産んだ。ミルテの山で産まれた この神の子に山羊が乳をあたえ、 羊番の犬が見張りをしたという。羊飼いのアレスタナースは子供が電光のような輝きに包まれているのをみて、 神的な存在だと気がついた。 この子はあらゆる病気を治し、また死者を生き返らせてくれるだろう、という知らせが広まった。
アポロンの蛇と共に犬もアスクレピオスの聖獣となっている。
他の伝承ではアルテミス女神の寵児ヒッポリュトスなど多くの英雄を蘇らせている。しかし死者の 甦りはゼウスの怒りをかい(ハデス が自分の王国に入ってくるものが少ない、とゼウスに訴えたとも)、電光でアスクレピオス は死んだ。
アポロンは復讐に雷電を造ったキュクロプスを殺したというが、一説ではゼウスがアスクレピオスを蘇らせ、 それでアポロンもキュクロプスも元に戻したという。
星座のへび、へびつかい座はアスクレピオスで、両手に蛇をもっているという。蛇の脱皮が再生のシンボルだとか、 蛇の毒も制御できるとか 蛇をみせてショック療法でノイローゼを治療した等の様々な解釈があるようだ。
このせいで13星座占いというものが登場してしまった。11月末から12月初め頃に太陽はへび使い座に入る。
1930年に国際天文学連合が星座の境界線を決めた際、へびつかい座の一部が黄道をまたぐように設定された。
天文学者は天文学上の利便性を考えただけで、星占いのことなどもちろん考えていなかった。
次の いて座までの18日間に生まれた人はへびつかい座になるというわけだ。
さそり座が嫌だという人は利用してみるのも良いかもしれない。
蛇と強いかかわりから蛇の絡みついた「アスクレピオスの杖」がある。
世界保健機関WHOの旗にも
デザインされている。
2匹の蛇と翼のあるカドゥケウスの杖と混同されることもあるという。
余談だが、日本では2011年 アニメ作品「バトルスピリットブレイヴ」
第44話「背徳のXレア 蛇皇神帝アスクレピオーズ」に登場した13番目の12宮Xレアに使われている。
また週刊少年ジャンプでは2008年新連載の「アスクレピオス」があった。
1997年に「新機動戦記ガンダムW デュアルストーリー G-UNIT」登場機体に
ガンダムアスクレプオスがある。12星座から命名されたOZ製MSの流れで名づけられた。
車田正美氏のマンガ作品『聖闘士星矢 NEXT DIMENSION 冥王神話』に神話の時代にいた十三番目の黄金聖闘士として、『蛇遣座オピュクス』のアスクレピオスが登場する。
(C) 幻想世界神話辞典 - GENSO SEKAI Myth dictionary